歯周病の治療

歯周病の意味

歯はアゴの骨に根を埋めています。そして、歯の根とアゴの骨の間には、歯根膜というスジが張り巡らされており、歯根と骨とをガッチリつなぐ役割を担っています。そしてアゴの骨の表面は歯肉で守られています。これら歯肉・骨・歯根膜を歯周組織といい、このうちのどれが悪くてもちゃんと咬むことができなくなります。それが歯周病です。

歯は、アゴの骨に根をしっかり埋めているからこそ、かたいものでも咬むことができるのです。歯周病が進行すると痛くて咬めなくなります。歯肉が腫れたり血や膿がでたり、口臭がするようになります。骨がすっかり溶けてしまっては入れ歯も安定しません。また、どんなに高価なかぶせものをしても、歯周病で骨が壊れてしまえば、歯は抜けてしまいます。

歯周組織は建物でいえば地盤と基礎部分に当たります。どんなに建物が立派でも地盤沈下や液状化が起きたり基礎工事が手抜きされたりしていると、壊れてしまいますよね。それと同じことです。
皆様に歯周病について正しい知識をもって歯を長持ちさせていただくために、歯科衛生士が中心となって全力でサポートします。一緒に大切な歯を守りましょう。

歯周病の治療では、患者さん自身の心がけも重要なポイントです!

歯周病にかかってしまう条件は『歯』『歯を支える組織』『歯周病菌』がそろっていること。どれかがなくなれば歯周病にはならないのですが、『歯』と『歯を支える組織』をなくすことができません。それなら、『歯周病菌』をなくせば万事解決!
……と簡単にできればいいのですが、残念ながら『歯周病菌』は0にはならないのです。

では、『歯周病菌が悪さできないほどほどの数にしておく』ようにするためには、どうすればよいのでしょう。

それは、

  1. 歯周病菌そのものの数を増やさない。
    → 歯周病菌が隠れる場所を狙った効果的な歯みがきの方法を会得する。
  2. 歯周病菌が隠れ潜む場所を作らない、減らす。
    → 歯周ポケット、不適合な詰めものやかぶせもの、歯並びの乱れているところなどを改善する。
  3. 歯周病菌と勝負しても負けない抵抗力を維持する。
    → 疲労、病気などで自分自身の抵抗力が落ちないようにする。

この3つです。

こうしてみると、③はご自分でできますね。
①は初めに磨き方を覚えてしまえば、あとは実行するだけです。ただ、「歯みがきなんて誰にでもできる」というほど簡単ではありません。特に、歯周病になってしまった後の歯みがきの方法は、歯周病になっていない人の歯みがきの方法とは異なります。

そのため、歯周病の治療は

を、その方の状況に合わせて行うことになります。

歯周病の治療では、いわば、患者の皆様が主役、診療スタッフは応援団みたいなものです。患者さんご自身がいろいろケアやコントロールを行い、医療スタッフはそのサポートをします。患者さんが自分でやらなければ治らない、といっても過言ではありません。

でも、重症の歯周病になってしまっていたら?

基本的な治療だけでは改善できない重症の歯周病の場合、その時こそ私たちの出番です!
必要に応じて、外科的な処置を行います。歯周組織再生療法(GTR法)というものです。
また、最近では歯周組織再生医薬品であるリグロスを用いた処置を行うようになりました。

いろいろと手を尽くして歯を守る方法を、一緒に考えましょう。

そしてメンテナンス

歯周病の治療に終わりはあるのでしょうか?

歯みがきの正しい方法も覚えた。歯石も取った。外科処置もやった。おかげで歯周ポケットも減ったし歯ぐきも引き締まってきれいになった。歯も揺れないし、咬んでも痛くない。
そうしたら、もう何もしなくても大丈夫なのでしょうか。

いったん良くなったからといって、放置したらまた元の歯周病にあっという間に戻ってしまいます。積極的な治療が終わって、良い状態になったら、今度はそれを維持していきましょう。
定期的なメンテナンスをお勧めします。